賃貸住宅のオーナーにとって、手持ち物件の設備を充実させることは稼働率向上のための非常に重要な施策です。浴室乾燥設備を取り付ける、エアコンを省エネタイプに取り換える、Wi-Fi環境を整えるなどの取り組みを行えば、入居者獲得に役立ちます。物件のバリアフリー化もまた、そうした取り組みの1つに挙げることができます。一見すると地味な対策のようですが、神奈川などの首都圏エリアを中心に導入する動きが広がっています。
バリアフリーとは、高齢者や身体に障がいを持つ人などが日々を過ごす中で生活上の障壁となる要素を取り除き、安心して暮らせるような環境を整えることをいいます。駅のホームに点字ブロックを設置する、官公署の入口に車椅子用のスロープを設けるなど、公共空間での導入例はおなじみですが、近年では個人の住宅内にも適用される動きが見られます。トイレや浴室に手すりを取り付けたり、室内の段差をなくして転倒事故などが起きにくくしたりといった対策を講じることで、体力的な不安を抱える人でも安心して暮らせるようになります。賃貸住宅においてこうしたバリアフリー設計を取り入れれば、高齢者自身が生活しやすくなるばかりでなく、家族の負担も軽減することができます。
その結果、物件が賃貸市場における優位性を持つことにもつながります。神奈川は都心へのアクセスが良く、地元にも多くの企業等が立地することから賃貸生活者の人気が高いエリアですが、その分物件同士の入居者獲得競争も激しいものがあります。そうした中で、バリアフリー化は神奈川の物件オーナーが賃貸経営を成功させるための重要な要素の1つになってきています。